イベント

2021.12.01

第7回動的エキシトンセミナー

2021年12月22日(水) 15:00~17:00オンライン開催
聴講を希望する方はこちらよりお申込みください。
https://forms.gle/fDihRQpxn7MabphW7

講演1 15:00~15:25
講演者:浦谷 浩輝(早稲田大学 助教)
題目:「非断熱分子動力学シミュレーションによる動的エキシトン現象の理解に向けて」
要旨:動的エキシトン現象の解析及び制御という観点では、実験に加えて理論計算に期待される役割も大きい。講演者は、電子・構造双方のダイナミクスが複雑に絡み合う励起状態化学種の振舞いを実時間シミュレーションにより明らかにすることを目指し、効率的な非断熱分子動力学計算手法の開発及びその応用に取り組んできた。講演では、手法の概略を説明するとともに、ペロブスカイト太陽電池材料として知られるMAPbI3及びCsPbI3の光励起初期過程を観察した最近の研究を紹介する予定である。

講演2 15:25~15:50
講演者:太田 薫(神戸大学 研究員)
題目:「時間分解テラヘルツ分光法で観る有機薄膜太陽電池の電荷キャリアダイナミクス」
要旨:我々はこれまで時間分解テラヘルツ分光法により、ジケトピロロピロール連結テトラベンゾポルフィリンをベースとしたバルクヘテロ接合型有機薄膜の電荷キャリアダイナミクスの研究を行ってきた。テラヘルツ光を用いた分光法では、光励起直後の電荷キャリアの移動度を測定できるなどのユニークな特徴を持つ。本セミナーでは、時間分解テラヘルツ分光法の概要やこれまで得られた結果について紹介し、今後の展開について議論したい。

講演3 16:00~16:25
講演者:秋山 みどり(東京大学 助教)
題目:「全フッ素化キュバンの合成および電子受容性の実証」
要旨:エネルギーのLUMOを持つ電子受容分子のほとんどはπ共役分子であり,LUMOのエネルギーはπ共役系の拡張によって低下する。これに対して,C–F結合が炭素を内側にして集合するとσ*軌道が重なり合い,π軌道が存在しなくても低エネルギーの空軌道が生成すると考えられる。これを実現した分子設計が全フッ素化キュバンである。本講演では,フッ素ガスを用いた液相フッ素化反応による全フッ素化キュバンの合成およびその電子受容性の検証について紹介する。

講演4 16:25~16:50
講演者:伊澤 誠一郎(分子科学研究所 助教)
題目:「動的エキシトンを利用した光アップコンバージョン」
要旨:有機半導体界面での電荷移動(CT)状態は、有機太陽電池の再結合中間体として知られるが、最近ではその特徴である動的エキシトン効果を利用した新たな光機能が開発されている。演者は、最近、界面CT状態のスピン反転機構を利用することで、新たな原理に基づく光アップコンバージョンを実現した。本講演では、その界面での光アップコンバージョンや、その原理を活用した低駆動電圧の有機EL素子の開発などの研究について紹介する。