イベント

2022.02.09

第9回動的エキシトンセミナー

2022年3月9日(水) 15:00~17:00オンライン開催
聴講を希望する方はこちらよりお申込みください。
https://forms.gle/UDqJUmh937iXvbvv7

講演1 15:00~15:25
講演者:小野 利和(九州大学 准教授)
題目:「円偏光発光を示す多核典型元素錯体の創製」
要旨:複数の金属イオンを含む多核錯体は、金属イオンの数や配置を制御することにより単核錯体にはない特異的な性質を示すことが知られている。近年我々は、ホルミルピロールとヒドラジンからなるシッフ塩基配位子をモチーフとした多核錯体に興味を持ち、らせん不斉を持つ二核三重らせん錯体の合成研究を進めている。本講演では、これらの多核錯体の合成と、ユニークな構造に由来するキラルな光学特性について紹介する。

講演2 15:25~15:50
講演者:羽曾部 卓(慶応大学 教授)
題目:「一重項分裂を用いた高効率・長寿命三重項励起子の生成とエネルギー系への展開」
要旨:電子ドナー(D)とアクセプター(A)の異なるニ分子間(ヘテロダイマー)での光誘起電子移動による電荷分離に対して、一重項分裂(singlet fission: SF)は同種の色素の二分子間(ホモダイマー)でDA的電荷移動(CT)が動的に関与しながら進行するスピン許容な多励起子生成反応である。本講演では、講演者のこれまでの取り組みだけでなく、現在の課題や将来展望についても時間の許す範囲で紹介する予定である。

講演3 16:00~16:25
講演者:五月女 光(大阪大学 助教)
題目:「多重超短光パルスで観る凝縮相分子系の電子状態・構造ダイナミクス」
要旨:秀逸な光電変換特性や発光特性を示す光機能性分子系は、一般に数十個の原子から構成される多原子分子であり、多様な電子状態と広大な構造自由度をもつ。こうした凝縮相分子系の機能発現メカニズムの解明を目的に、我々は多重励起技術を基盤とした時間分解分光法を用いて、ダイナミクス研究を推進している。本講演では、これらのケーススタディとして、液相のDAモデル系を対象とした高位励起状態からの電荷分離反応と、フェムト秒誘導ラマン分光による分子ナノカーボンの構造変形ダイナミクスの研究について紹介する。

講演4 16:25~16:50
講演者:南保 正和(名古屋大学 准教授)
題目:「スルホニル基の分子設計に基づくラジカル発生法の開発」
要旨:スルホニル基は強力な電子求引性と脱離基としての性質と併せ持つユニークな官能基であり、我々はこの特性を活用することでsp3炭素上を逐次的に官能基化する独自の分子構築を実現してきた。最近ではテトラゾールを有するスルホニル基が電子受容性官能基として機能し、適切な還元剤やフォトレドックス触媒によってラジカル種の発生を鍵とした分子変換が可能であることを見出した。本セミナーではこの研究内容と今後の展開について紹介する。