イベント
第8回動的エキシトンセミナー
2022年2月2日(水) 15:00~17:00オンライン開催
聴講を希望する方はこちらよりお申込みください。
https://forms.gle/2sKLnpqkbUYcCzcYA
講演1 15:00~15:25
講演者:小田 晋(関西学院大学 助教)
題目:「高色純度TADFを示す含BN多環芳香族化合物の開発」
要旨:近年,高価な貴金属を用いずに理論上100%の内部量子効率を可能とする熱活性化遅延蛍光(TADF)材料が注目されている。しかしながら,既存のTADF材料は幅広なスペクトルを示すため,色純度の向上が望まれている。当研究室では,ホウ素と窒素の多重共鳴効果を用いることで,世界最高レベルの色純度を持つ青色TADF材料(DABNA)の開発に成功している。本講演では,部分構造としてカルバゾール環を有するDABNA類縁体の合成に関して紹介する予定である。
講演2 15:25~15:50
講演者:木村 謙介(理化学研究所 基礎科学特別研究員)
題目:「動的エキシトンの極限時空間観測を目指したテラヘルツ電場駆動STM発光分光法の開発」
要旨:エキシトンダイナミクスの実時間・実空間計測は、光電変換や光化学反応といった分子の光物性を明らかにする上で重要である。この目標を実現する為に、走査トンネル顕微鏡(STM)をベースとした新たな分光手法、テラヘルツ(THz)電場駆動-STM発光分光法(THz-STL)の開発に取り組んでいる。本講演では、THz-STL測定の最初のデモンストレーションとして行った、THz電場駆動トンネル電子が誘起するSTM探針と金属基板間のギャップに形成される局在プラズモンからの発光観測について紹介する。
講演3 16:00~16:25
講演者:中山 泰生(東京理科大学 准教授)
題目:「エピタキシャル成長した単結晶有機半導体界面の電子物性」
要旨:典型的な分子固体において,電子状態は個々の分子の局在した分子軌道で表され,励起子も単分子程度に局在したフレンケル励起子として取り扱われる。一方で,バンド伝導性の有機半導体分子の単結晶では,電子状態が個々の分子軌道の枠を超えて数分子に非局在化し,高いキャリア移動度が実現することが知られている。本講演では,バンド伝導性の単結晶有機半導体が接合した高秩序界面をエピタキシャル成長により創製し,その電子物性を計測した研究例を紹介する。
講演4 16:25~16:50
講演者:長尾 一哲(金沢大学 助教)
題目:「有機硫黄光酸化還元触媒による強酸フリーカルボカチオン発生法の開発」
要旨:カルボカチオンは古典的な炭素陽イオン種として有機化学の教科書で必ず習う。魅力的な反応性を有するものの、その発生には強力な酸を用いる必要があった。我々は最近、有機硫黄光酸化還元触媒とアルキル求電子剤から一電子移動を利用することで強力な酸を用いることなく、カルボカチオン等価体を発生させることに成功した。本セミナーでは開発に至った経緯とその後の展開について紹介する。